傘の無料貸し出しサービスが破たんする理由
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ミニチュアとは全然関係ない話題なのですが、以下のニュースが議論になっていますね。
2016年3月の北海道新幹線の開業と共に、雨傘の無料貸し出しサービスが開始されたそうです。しかしながら、このサービスは廃止に…。
サービス実施期間中に用意した傘の数は2300本。昨年末までの約9か月間で、未返却の傘の数は2100本、つまり2300本あった傘が、残り200本に減ってしまったことが、廃止要因の1つのようです。
個人的な感想を言えば、この期間中に、雨の日が何回あったのかはわかりませんが、梅雨の時期も含めて、約9か月間で1割ほど残ったのなら、意外と持ちこたえた方では…?と感じました。(おそらく傘の返却率は、そこまで悪くないはずです。)
ブックマークコメントでも指摘する声は少数ですが、利用者のモラルの問題よりも、数学的な問題として、このサービスは破たんしやすいと考えます。
さて、ちょっと話は変わりますが、傘って紛失しやすいアイテムの1つですよね。朝は雨でも、昼や夕方に晴れた日などは特に…。電車の中や、トイレなどで置き去りにされた傘を、よく見かける気がします。
…話がやや脱線しましたが、簡単なモデルケースで、傘の貸し出しサービスが破たんする様子の紹介を…。
用意された傘は、雨の日は全て貸し出されるという前提で、傘の返却率は95%にしましょうか。(この95%という数字が高いと感じるか、低いと感じるかは、個人差があると思いますけど。)
最初に用意した傘は100本。その経過を見てみましょう。(小数点以下の数値は四捨五入しています。)
雨の日 1回目 100本の傘 × 返却率95% = 95本
最初に100本用意した傘は、1回目で95本に減りました。
雨の日 2回目 95本の傘 × 返却率95% = 90本
返却率95%だと、2日目にして早くも、傘の数は当初より1割も減ってしまいますね。
雨の日 03回目 90本の傘 × 返却率95% = 86本
雨の日 04回目 86本の傘 × 返却率95% = 81本
雨の日 05回目 81本の傘 × 返却率95% = 77本
雨の日 06回目 77本の傘 × 返却率95% = 74本
雨の日 07回目 74本の傘 × 返却率95% = 70本
雨の日 08回目 70本の傘 × 返却率95% = 66本
雨の日 09回目 66本の傘 × 返却率95% = 63本
雨の日 10回目 63本の傘 × 返却率95% = 60本
雨の日 11回目 60本の傘 × 返却率95% = 57本
雨の日 12回目 57本の傘 × 返却率95% = 54本
雨の日 13回目 54本の傘 × 返却率95% = 51本
雨の日が13日目で、最初に用意した傘100本は、51本まで減りました。ほぼ半減。
このように、返却率が100%以下の場合、いつの日か必ず傘の数はゼロになります。(その減少の幅は、傘の返却率が高ければ緩やかに、返却率が低ければ急激に。)
現実問題として、こういったシステムを維持するためには、傘の補充は必須です。今回の件は、その補充の財源に税金を投入したことが問題だったかもしれません。雨傘の貸し出しのため、税金を投入することに、疑問を感じる納税者も少なくないでしょう。
最初から単価の安い傘を使い、デポジット(預り金)制を導入したりすると、もう少し息の長いサービス展開ができたかもしれません。
まぁ、そこまでするのなら、無料貸し出しを止めて、最初から有料で傘を売ったほうがよいと思いますけども…。