ミニチュアの作り方を伝える難しさ
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2011年から、主にミニチュアの作り方を紹介するWEBサイトを運営しています。
いつも考えてしまう課題なのですが、ミニチュアの作り方を伝える難しさの1つに、条件や環境の違いが挙げられるでしょうか。
本や、インターネットの記事に載っている作り方を試してみたけど、うまくいかない…、こんな経験は誰しもあるかと思います。
これは記事執筆者と、その記事の読み手の条件や環境が違うせいかもしれません。
たとえば、塗料や接着剤などは、気温や湿度によって大きく性能が変わります。気温が低いと、接着力を発揮しにくい架橋型の接着剤などが、その代表でしょうか。
使う材料の違いも大きいでしょう。ひとくちに「木工用ボンド」と言っても、日本で一般的な白ボンドは、水に弱い性質がありますが、海外製の木工用ボンドは、屋外の雨水にも耐えられるような製品も珍しくありません。
地域性の違いもあるでしょうか。たとえば日光でUVレジンを硬化させる場合、北海道と沖縄では、降り注ぐ紫外線量が1割くらい違うので、硬化スピードに差がでる可能性があります。
組み合わせの違いも考えられます。具体的には、水性塗料の上から、水性ニスを塗ると塗料がにじんでしまう…、これは塗料とニスの相性が悪い、ミスマッチの問題ですね。この解決方法の1つは、油性のニスでコーティングすることです。
また、油性ペンで透明プラバンを着色し、上からUVレジン液を盛るとにじむ…、というのも相性の問題ですね。この場合、水性顔料のペンで着色するか、水溶性のUVレジンを使うことによって解決するでしょう。
プリンターで文字や図案を印刷した紙に、コーヒーや紅茶で染めるアンティーク加工も、染料インクで印刷した物だと、にじんでしまいます。この場合、顔料インクかトナーを使うプリンターで印刷すると解決しますが、プリンターによっては、黒だけ顔料インクで、カラーは染料インクなどの混在型もあるのでややこしいかもしれません。
ちなみにエプソンのプリンターは、PXからはじまる型番は顔料インク、EPからはじまる型番は染料インクのプリンターです。
材料の組み合わせで言えば、レジンの型として、食品のパッケージのプラスチックを使う方法を披露されている記事もありますが、パッケージのプラスチックが難接着性のオレフィン系樹脂、たとえばPP(プリプロピレン)ならば、パッケージとレジンが接着することはないので、型枠として使えるかと思われます。
しかし、PS(ポリスチレン)などの接着が容易な素材ならば、そのパッケージとレジンが接着するので、型枠としては、なかなか利用が難しいでしょう。(そのパッケージと接着して使う用法ならば、問題はないですが…。)
また、挙げるとキリがないかもしれませんが、素材の加工性の違いなども大きいんですよね。個人的には、プラ板やプラ材も、タミヤ社の物より、エバーグリーン社やプラストラクト社製のプラ材の方が加工しやすかったりしますね。
このような違いに配慮して書かれている文章を見かけると、かなり知識や経験が豊富で、親切な方なんだろうな…と感じます。