歯科用の型取り材はミニチュア製作に使えるのか?
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『歯科用の型取り材はミニチュア製作に使えるのか?』というご質問を頂きましたので、私見を述べてみたいと思います。
私がミニチュア製作を開始したのは、2011年から。まだまだ日が浅いとは思っていますが、もともとプラモデル製作をしていました。プラモデル製作は、30年以上の経験があります。
私の記憶によると、プラモデル分野で、いわゆる『レジン』や『シリコーン』を使い始めたのは、歯科医師や歯科技工士のモデラー(模型を作る人のこと)の方達だったような印象です。
なぜ型取りを行うのか?
プラモデルやミニチュア製作で、型取りを行う意義を考えると…
「同じ品質の複製品が量産できる」
という利点が大きいと思われます。
ワンオフ(ONE OFF)と大量複製
歯科の分野で考えますと、患者さんの歯を型取りする意義は…
「患者さんの歯を再現して適合する複製物を作る」
ということでしょうか。
場合にもよるでしょうが、基本的に複製物は1つで事足りるはずです。1つだけ製作することを、工業分野や模型分野では『ワンオフ』と呼びますが、患者さんの歯の複製物はワンオフのケースが多いと思われます。特定の患者さんの1つの歯を、大量複製するケースというのは少ないかもしれません。
アルギン酸塩印象材について
歯科分野では、アルギン酸塩印象材という型取り材が存在するようです。型取り材としては、かなり安価な部類でしょう。通販の楽天市場でも入手できます。
上記は、『ドクターアルギン』という製品です。
アルギン酸塩印象材は、『乾燥』・『離液』・『膨潤(吸収)』と呼ばれる性質を持っていて、型取り直後に複製したものと、型取りから時間が経過した後に複製したものでは、寸法の精度が違うという現象が起きるようです。
私は使ったことがないので、化学的な知識だけを根拠に類推すると、あまりミニチュアやプラモデル製作で利用しやすい型取り材とは言えないかもしれません。ワンオフの型取りに向いている素材だと思います。
模型分野での歯科用シリコーンの代表は『オーマラボ』
模型分野では、歯科用のシリコーンで人気が高いのは『オーマラボ』でしょう。Twitterでいくつかピックアップします。
肩のスラスターも無理矢理オーマラボで複製。一発で上手く行って良かった。 pic.twitter.com/PKw5oN1fUI
— すえぞ (@LED_Suezo) 2014年5月11日
すっかり忘れてたシールドの窓枠付けたぜ!
— ミサー@Mk-Ⅱ完成(*´Д`) (@mi_a_wa) 2015年7月20日
プラ板で作ろうと思ったけど時間無いんで初回のシールドからオーマラボった。 pic.twitter.com/Vp41bnosS8
「オーマラボった」という言葉は、「『オーマラボ』で型取りした」という意味です。
比較的に安価で人気の高かった『オーマラボ』ですが、現在では残念ながら、メーカー製造が中止となっています。
ブルーミックスに似た製品は…
ミニチュア製作での型取り材としては、『ブルーミックス』が有名でしょう。
以下のリンクはPDFファイルになりますが、ブルーミックスの物性表です。
キャプチャした画像は以下に。
練り合わせ時間は45秒。硬化開始時間は1分45秒で、硬さが74~78という数値です。
今回は、説明を省きますが、ブルーミックスは『付加型』のシリコーン材になります。歯科用の付加型シリコーンだと、以下の製品がブルーミックスに近い数値です。
操作余裕時間が1分。口腔内硬化時間が3分で、硬度が80という数値。
この『ドクターシリコン』シリーズは、4種類ほどありますが、硬化時間や硬度などを考えると、上記のタイプが1番ブルーミックスに近いでしょう。単価もブルーミックスよりも安いかもしれません。
個人的には、ミニチュア工作では、入手性が高い『ブルーミックス』や『シリコーンモールドメーカー』をおすすめしますが、こういった歯科用のシリコーン材が入手できる環境にあられる方ならば、代替できる場合もあるかと思います。